左から、慶應・三田キャンパス (c)朝日新聞社、早稲田・大隈講堂 (撮影/吉崎洋夫)
左から、慶應・三田キャンパス (c)朝日新聞社、早稲田・大隈講堂 (撮影/吉崎洋夫)
【図1】 5つの早慶異変!! (週刊朝日2021年4月2日号より)
【図1】 5つの早慶異変!! (週刊朝日2021年4月2日号より)
【図2】 分析方法は、図1と同じ (分析)井上孟、西田浩史 (週刊朝日2021年4月2日号より)
【図2】 分析方法は、図1と同じ (分析)井上孟、西田浩史 (週刊朝日2021年4月2日号より)

 私学最難関大として競い合う早稲田と慶應義塾の学部序列に異変が起きている。インターネットでの検索数などを分析したところ、早稲田の社会科学部(通称・社学)が看板学部になりつつあることなどがわかった。両大の現状と未来を紹介する。

【図解】SFCの人気が急上昇!? 早慶の学部序列5つの異変はこちら

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 今春、慶應の医学部に合格した女性(18)は言う。

「慶應の医学部は別格です。早稲田? 受けようとは思いませんでした」

 データを見ても、両大を通じて最上位に位置していることがわかる。早稲田には医学部がなく、「慶應との決定的な差はここにある」と指摘する早稲田OBは多い。

 慶應医学部といえば、私学最古の歴史を持つ医学部だ。付属病院は臨床の最先端を行き、研究もトップクラス。学閥が強く、各界へのパイプもある。

 そんな医学部の地位がさらに上がる出来事が起きた。昨年11月、慶應が東京歯科大との合併協議を始めると発表したのだ。合併が実現すれば、文系・理系の学部がある総合大学で、医・歯・薬・看護を持つ医療系総合大でもあるのは、慶應が日本で唯一となる。

 近年の教育や研究の現場では他学部との連携が必須だ。慶應では医学部と理工学部が、治療・手術支援や診断・評価支援などの研究を一緒に行っている。医学部、薬学部、看護医療学部も共同で授業を実施するなどしている。医学部に合格した女性は期待を寄せる。

「世の中は医療だけで成り立っているわけではありません。歯・薬・看護や理工系の学生と一緒に学べるのは大きいです」

 今回、教育ジャーナリストで追手門学院大客員研究員の西田浩史さんとデータサイエンティストの井上孟さんに、早稲田・慶應両校の最新学部序列を作ってもらった。過去3年間のインターネットでの検索数や言葉の種類の多さといったデータ(約5億件)を分析した結果だ。データによると、医学部をはじめ、理工、薬、歯、看護といった理系学部のブランド力は上がると予測されている。私立医学部・歯学部専門予備校メルリックス学院の鈴村倫衣学院長が指摘する。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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