ラジオ体操でも午前中にする場合は注意が必要だ。事前にストレッチなどで体を慣らしておきたい (c)朝日新聞社
ラジオ体操でも午前中にする場合は注意が必要だ。事前にストレッチなどで体を慣らしておきたい (c)朝日新聞社
座りすぎの時間と死亡リスク (週刊朝日2021年2月5日号より)
座りすぎの時間と死亡リスク (週刊朝日2021年2月5日号より)

 コロナ禍で健康意識が高まった人も多いだろう。だが、間違った習慣を継続したままだと、思わぬリスクや盲点に陥ることになる。生活習慣には注意が必要だ。

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■寿命を縮める習慣(1)熱い湯に入る

 寒波の影響で気温の低い日が続くが、「こんなときは熱い湯につかるのが最高!」とばかり、温度が高めの湯に入っている人も多いのではないだろうか。

 だが、これは命に危険が及ぶ可能性が高い。

「暖かい居間から寒い脱衣所に行って衣類を脱ぎ、熱めの湯に入る。こうした急な温度の乱高下は血圧に悪影響を及ぼし、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中のリスクを高めてしまいます。浴槽で意識を失えば、溺死(できし)しかねません」

 こう警鐘を鳴らすのは、温泉療法専門医で東京都市大学教授の早坂信哉さんだ。

 人の体は、体温を常に一定に保とうとする働きがある。寒い場所に行くと、体の熱を逃がさないようにしようと、興奮したり緊張したりしたときに活性化する交感神経が優位になるため、血管が収縮する。血圧が急上昇して血管に過度な負担がかかり、血管が破れれば脳出血、詰まれば脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまう。

 温度差による急激な血圧変動を「ヒートショック」といい、最も引き起こしやすいシーンが、冬の入浴だ。東京消防庁によると、ヒートショックなどの影響で溺れて救急搬送された人は12月から1月に圧倒的に多い。

 特に高齢者は動脈硬化によって血管がもろく、硬くなっているので、若い人よりリスクが大きい。実際、厚生労働省の統計では、2019年に浴槽での溺死・溺水で亡くなった人は5690人いるが、このうち高齢者は9割を超える。

 さらに高齢者の場合、血管以外にも感覚の鈍さからヒートショックを起こしやすいと早坂さんは指摘する。

「年をとると感覚センサーの機能が低下するため、温度の感じ方が鈍くなります。適温の湯加減をぬるく、熱めの湯をちょうどよいと感じてしまうのです」

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