しかし、感覚が鈍っても体は同じように反応する。ちょうどよいと思って熱めの湯に入れば、当然ながら血圧は上がってしまう。早坂さんによると、ヒートショックを起こさない適切な湯温は、冬場は41度以下で、42度以上になると交感神経が優位になる。湯温を事前に確認してから湯につかることが重要になる。

「もう一つ大事なのは、浴室や脱衣所を暖めること。5度以上の温度差で血圧が上がるので、居間と脱衣所の温度差はそれ以内にとどめておきましょう」(早坂さん)

 居間と脱衣所には温度計を置いて、温度差があれば暖房器具を使ったり、風呂のふたを開けたり、シャワーを出して空気を暖めたりする工夫が必要だ。

■寿命を縮める習慣(2)寒い部屋で過ごす

 温度による問題は、入浴時だけに起こるわけではない。早坂さんが問題視するのは、居間などの部屋を暖めない習慣だ。先の厚労省の統計では、低温が原因で亡くなる人は年間千人以上で、熱中症が原因の数とほとんど変わらない。

「コタツがあるから、あるいは着込んでいるから大丈夫と思っている人もいるでしょう。でも、WHO(世界保健機関)も18年に、室温を18度未満にすると循環器疾患の発症率が上がるとして、警鐘を鳴らしているほど部屋の温度は重要なのです」(同)

 コタツはあくまでも補助的に使い、部屋はしっかり暖めること。窓から冷気が入ってくるので、窓や廊下は断熱シートなどを使って暖かい空気を逃がさないようにしよう。

■寿命を縮める習慣(3)座りっぱなし

 コロナ禍で外に出る機会が減り、リモートでの仕事やオンラインの作業が増えた。それに伴って座っている時間が増えているのではないだろうか。だが、座る時間が長くなるほど死亡リスクが高まることが、さまざまな研究結果から明らかになっているのだ。

 例えば成人の場合、1日の座位時間が4時間未満と比べて、8~11時間では1.15倍、11時間以上ではなんと1.4倍も死亡リスクが高くなる。また、テレビを見るために座りっぱなしでいると、1時間ごとに平均余命が推定で22分短くなるという報告もある。

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