「ロケハンで結構いろんな場所に行ったんです。おそば屋さんなら大抵どこにでもありますし、ひとつ好物を伝えておくと、スタッフもラクだと思って。『さあ今日も天ぷらそばがいただける』ってなると、ほっと一息つけた。スタッフは、『監督には天ぷらそばさえあれば大丈夫』って思ってたんじゃないかしら(笑)」

「十二単衣を着た悪魔」就職試験59連敗中、コンプレックスを拗らせたネガティブ男子・伊藤雷(伊藤健太郎)が、「源氏物語」の世界へタイムスリップし、弘徽殿の女御(三吉彩花)という最強ヒロインと出会うことで人として成長していく。原作は内館牧子の小説『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』(幻冬舎文庫)。

※この記事は10月28日以前のインタビューをもとにしたものです。

(菊地陽子 構成/長沢明)

黒木瞳(くろき・ひとみ)/福岡県出身。1981年、宝塚歌劇団に入団し、入団2年目で月組娘役トップに。85年退団。多くの映画、ドラマ、CM、舞台に出演。「化身」(86年)では日本アカデミー賞新人俳優賞、「失楽園」(97年)では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など、数々の賞を受賞。2016年「嫌な女」で映画監督デビュー。翌年「わかれうた」が配信された。著書『母の言い訳』では日本文芸大賞エッセイ賞を受賞。

週刊朝日  2020年11月13日号より抜粋