帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
西洋医学は “体”を、東洋医学は “気”を重視する。※写真はイメージです (GettyImages)
西洋医学は “体”を、東洋医学は “気”を重視する。※写真はイメージです (GettyImages)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「東洋医学について」。

*  *  *

【生命場】ポイント
(1)西洋医学に対し東洋医学はより本質的な医学
(2)ただ東洋医学は客観性と再現性に難がある
(3)将来、東洋医学は本来の医学として花開く

 西洋医学と東洋医学は同じ医学でありながら、大きく違っています。

 西洋医学は、まずは“体”に目を向けます。ですから医学部の学生にとって解剖実習はとても大事なのです。臓器を切り分けて、それぞれの部分の役割を明らかにすることで、西洋医学は始まります。そのため、解剖しても見つからないものに対しては、関心を示しません。

 一方で、東洋医学にとって欠かせない概念である“気”はいくら解剖しても見つかりません。経絡や経穴といったものも、血管や神経のように目に見えるものではないのです。

 私は人間をまるごととらえようとしたときに、必要なのが「生命場」という考え方だと思っています。生命に直結するエネルギーのようなものが、体内に分布していて、電磁場や重力場と同様に生命場を形成しているという見方です。体内の臓器や様々な部分が生命としての秩序を保てるのは、この生命場のおかげです。

 そして、このエネルギーのようなものを、東洋医学では気という概念で説明します。西洋医学が体だけを対象にしているのに対し、東洋医学は生命そのものに迫ろうとしているのです。つまり、東洋医学の方がより本質的な医学だと言えます。将来は東洋医学が西洋医学を超えて、医学の主流になるはずです。

 ただ、いまだにこのエネルギーのようなもの(気)が何なのか、解明されていません。科学的な方法によって、客観性と再現性をもって説明することができないのです。これが東洋医学の弱点です。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ