「ステイホームからの解放という面で言うと、旅をすることで非常にリラックスできます。インターネット環境があれば自然環境豊かなところで仕事ができますし、奥さんは3食の料理から解放され、子どもは自然体験教室に参加できます。そういうような楽しみ方もできると思います」

 ただ、国や自治体がキャンペーンをしても、多くの人が旅行に出かけるようになるわけではないという。

「新型コロナの問題は、現代の日本人にとって初めての経験。ウイルスは目に見えないので、旅行が解禁になったといっても、旅に積極的な層と慎重な層にどうしても分かれるのではと思います。ワクチンが開発されるまでは正常な状態になかなか戻りません。やはり1、2年はかかるのではないでしょうか」

 その状況の下、まず感染リスクが比較的低い「日帰りや1泊旅」が増えていくと橋本教授は見る。その後、「なじみ宿への旅行」が増え、そして「海外旅行の代わりとなるような遠出の旅(北海道や沖縄県)」と、3段階で回復していくという。

「以前行ったことがあるなじみの宿への旅行であれば、衛生面への取り組みも想像できますし、何より(宿への)応援になります」

 一方で、再び感染拡大の傾向が出てきている。確認された全国の新型コロナ新規感染者は、7月3日から3日続けて200人を突破した。そのうち約半数を東京都が占めているため、小池百合子都知事は4日、都民に対して、不要不急の都外への移動を自粛するように求めた。さらに東京都は9日に224人、10日には243人と2日連続で過去最多を更新した。他県の知事からは不安視する声も上がっている。

 どんな小旅行であっても、感染には十分気をつけたい。

 橋本教授も、こう注意を呼びかける。

「『Go To トラベル』キャンペーンをやって感染が広がり、また移動自粛となったら、何とか頑張っている観光業界の人たちは大変なことになります。それをいかに避けるかを、受け入れる側だけでなく旅行する側もきちんと認識しないといけません。新しいクラスター(感染者集団)を作ってしまう、それだけは避けないといけませんね」

(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2020年7月24日号より抜粋