(5)「院内感染」が起きたが対策はあるのか?


 和歌山県の済生会有田病院で50代の男性医師と、この病院の60代の男性患者らの感染が確認された。新型コロナとしては、初の院内感染とみられている。

「中国からの旅行者の多い福岡や沖縄でも同様のことが起きるでしょう。新型インフルエンザの時もそうしたように、多くの患者さんや高齢者と接する医療スタッフや介護職の人の検査を急ぐべきです」(上氏)

(6)エアロゾル感染は起こるのか?
 エアロゾル感染は、霧状のものにウイルスが混ざり、それを吸入して感染するルートだ。神戸大学教授の岩田健太郎医師は「まれにしか起きない」と言う。

「SARSの時は集合住宅のトイレの配管にウイルスが入り、トイレを流した時に飛沫が当たって次々と感染が起きました。いまの感染症対策がうまくいっていないことがわかれば、たまにしか起きないことでも調べる必要はあります」

(7)皮膚に付着したウイルスはどのくらい生きる?
 ドアノブやつり革をつかんで手についたウイルスは、どのくらい生きるのか?

「風邪ウイルスならば数時間と言われています。接触感染を防ぐには、手洗いが最も効果的です」(上氏)

(8)抗HIV薬は有効なの?
 2月2日、タイの保健省は新型コロナの症状で入院していた患者に、抗HIV薬と抗インフルエンザ薬を組み合わせて投与したところ、症状が劇的に改善したと発表した。久住氏が語る。

「中国でも抗HIV薬がどのくらい効くのか臨床試験を始めています。症状が非常に悪化してきたケースでは、実験的ではあるけれども薬を使うことは許容されるのではないか」

 14日、厚労省は抗HIV薬の治験を国立国際医療研究センターで実施することを決めた。1月に同センターでは新型コロナの感染者に抗HIV薬を投与し、症状が改善したことを明らかにしている。

(9)今後、ウイルスの毒性が強まる可能性は?
 新型コロナが変異し、強毒化する恐れはあるのだろうか。日本救急医学会は2月9日版で、「ウイルスの遺伝子変異は起きていない」と報告している。

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