家計収支の計算 (週刊朝日2020年2月14日号より)
家計収支の計算 (週刊朝日2020年2月14日号より)
老化の進行が暮らしに及ぼす影響 (週刊朝日2020年2月14日号より)
老化の進行が暮らしに及ぼす影響 (週刊朝日2020年2月14日号より)

 人生の最期を自宅で迎えるのか、介護施設で迎えるのか、自分で決められないとあきらめてしまっている人が多い。老後資金や老化の進行、健康状態に大きく左右されるからだが、人生の終盤戦をどう過ごすかを60歳前後から「老活」として準備しておくことが大事だ。

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 大阪府在住の横山義昭さん(84)と幸恵さん(81)=ともに仮名=夫妻は、それぞれの介護生活をどう送るのか、話し合う機会がないうちに、義昭さんの介護が突然やってきた。

 義昭さんは3年前に食道がんの手術を経験した。40代で心筋梗塞を患い、大きな手術を経験してからは、酒もたばこもやめて、低カロリーの食事やウォーキングなどの適度な運動を心がけるなど、健康には人一倍気を使ってきた。

 しかし、80歳を超えてから見つかったがんは、義昭さんの体力と気力を奪った。がんの手術で胃の3分の2を摘出し、食欲が一気に落ちたことが引き金だ。その後、退院し、自宅生活に戻ってからは、回復に向かっていると思われたが、定期検査の肺のレントゲンで結核の疑いが浮上し、再入院を余儀なくされた。

 義昭さんは、がん手術の前から、週3回の人工透析の治療にも通っていた。再入院先は人工透析治療が可能な病院に限定された。

 自宅から病院への道のりは、電車とバスを乗り継ぎ、1時間程度かかるため、妻の幸恵さんも毎日見舞いに通うわけにもいかない。どうしても、義昭さんの身の回りの世話を病院側に任せざるを得ないことが多くなった。

 結局、結核治療のための再入院の生活は3カ月続き、義昭さんはベッドで寝ていることが多くなって、すっかり足腰が弱ってしまった。

 そのころの義昭さんは立ち上がりや歩行などを自力ですることができず、排せつや入浴などの一部または全面的な介助が必要な状態。自宅では、介護の準備や心構えは何もできていなかった。退院の際、病院のソーシャルワーカーの勧めで要介護認定を受けることになり、その結果、「要介護2」と認定された。

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