SOMPOホールディングスシニアマーケット事業部新規事業開発グループの妹尾栄治課長はこう言う。

「人気が高い民間の介護付き高級ホームの多くは、介護施設に入っても、自宅と同様な暮らしを継続できることを追求している」

 もちろん、スタッフによる24時間の常駐や、看護職員や機能訓練指導員、ケアマネジャーなどの専門職が入所者一人ひとりのケアプランに基づいた介護を実施するなど介護機能のソフト面を整え、居室は完全個室のプライベート空間を確保するなどハード面も充実させていることが基本だ。

 そのうえで、自宅にいるときと変わらずいつでも家族との時間を過ごせたり、ファミリールームでの食事や自動車での送迎サービスなどを用意しているところもある。さらに、家具の持ち込みや趣味を続けられるための機材の持ち込みなど、自宅のように自分流にカスタマイズできるほか、体操や書道など友人と楽しめるアクティビティーを用意しているところもある。

 施設選びで何を重視するかは、いくつかの基本的なポイントはある。残りの人生を自分らしく生きられるために、押さえておきたいポイントは人それぞれだ。

 最近では、健康寿命を長くするため、入所者に仕事を紹介しようという試みも始まっている。東京都大田区多摩川にある介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ多摩川」では、入所者に有償の就労機会を提供する取り組みを2019年2月からスタートさせた。

 ケア介護ファッションブランド「KISS MY LIFE」を展開する企業「TOKIMEKU JAPAN」(東京都中央区)が協力し、入所者のうちの希望者数人に、介護用品のアクセサリーを製作する仕事を提供している。

 仕事は月2回で報酬は1回の参加につき、施設内で使える500円相当のポイントだが、「社会に役立つことで、喜びややりがいを持つなど、参加者の満足度は高い」(妹尾課長)。

 SOMPOケアは、仕事付き高齢者住宅の実証を1月で完了。利用者に好評だったため、次年度も継続することを決めた。他の地域でも、仕事を供給してもらえるパートナー企業が見つかれば、同様のプロジェクトを広げていくことも検討している。

 こうした生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)の向上を目指した施設サービスの開発は今後も拡大しそうだ。(本誌・小島清利)

週刊朝日  2020年2月14日号