直木賞作家・黒川博行が惚れた人生最高の「名刺」とは? (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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直木賞作家・黒川博行が惚れた人生最高の「名刺」とは?

連載「出たとこ勝負」

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黒川博行週刊朝日#黒川博行
黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する (C)朝日新聞社

黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する (C)朝日新聞社

※写真はイメージです (Getty Images)

※写真はイメージです (Getty Images)

 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。今回は名刺について。

*  *  *
 木曜日、東京でのサイン会と飲み会。金曜日、某文学賞贈賞式とそのあとの徹夜麻雀で丸々二日間、家を離れていた。わたしはそもそも強度の出無精で、かつ人見知りもひどい(顔が怖いからできるだけにこやかにしている。それがしんどい)から、へろへろのよれよれになって大阪に帰ったのが土曜日──。オカメインコのマキが飛んできて“さぁ、撫でんかい”と甘えるから、二十分ほど頭をカキカキしているうちに眠ってしまい、起きたのは十二時間後だった。締切の近い原稿を五枚ほど書くうちに眠くなり、仕事場の床に横になったら、目覚めたときは日曜日の早朝だった。そうして午前中は続きの原稿を書き、昼すぎに家を出て、梅田の書店へ。そこでまたサイン会をした。東京とちがって大阪の読者はみなさんが話しかけてくれるから、こちらとしては楽だ。

 取材で沖縄に行かれたんですか──。『疫病神』の桑原にはモデルがいますか──。次の新刊はいつですか──。小説によう出てくるジャンジャン横丁の串カツ屋はどこですか──。

 質問に答えながらサインをしていると、すぐに時間が経つ。大阪のサイン会は八十人だった。

 さて、ここからが本題だが、木曜から日曜まで怒濤(どとう)の四日間が終了し、もらった名刺を数えてみると二十数枚あった。企業と役職名の入った名刺が二十枚とフリーランサーの名刺が数枚。会社員の名刺はフォーマットに準じたものだから代わり映えはしないが、フリーランサーのそれはおもしろい。みなそれぞれデザインに工夫を凝らしている。紙に地模様やイラストのあるもの。肩書のないもの(表は名前だけで、裏に住所やメールアドレスがある)。名前の活字がやたら大きいもの(これで筆書きの書体は落語家やその筋のひとの名刺に多い。むかしは代紋入りのももらったから資料としてとってある。ちなみに警察関係の名刺は役職名とともに、巡査部長、警部補といった階級が刷ってある。おもしろいし、なにかの役に立つかもしれないから、その筋の名刺とセットで保管している)。


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