慶應大学の三田キャンパス(撮影・多田敏男)/早稲田大学の大隈記念講堂 (c)朝日新聞社
慶應大学の三田キャンパス(撮影・多田敏男)/早稲田大学の大隈記念講堂 (c)朝日新聞社
早慶 ※偏差値および入学比率は東進ハイスクールの2019年データ (週刊朝日2019年11月29日号より)
早慶 ※偏差値および入学比率は東進ハイスクールの2019年データ (週刊朝日2019年11月29日号より)
早稲田大内 ※偏差値および入学比率は東進ハイスクールの2019年データ (週刊朝日2019年11月29日号より)
早稲田大内 ※偏差値および入学比率は東進ハイスクールの2019年データ (週刊朝日2019年11月29日号より)
国際系 ※偏差値および入学比率は東進ハイスクールの2019年データ (週刊朝日2019年11月29日号より)
国際系 ※偏差値および入学比率は東進ハイスクールの2019年データ (週刊朝日2019年11月29日号より)

 今や、ブランドや偏差値(難易度)だけに頼らなくなった大学選び。併願した大学・学部にどちらも合格、つまりW合格した場合、どちらを入学先に選ぶか。大手予備校・東進ハイスクールのデータを元に注目の併願パターンを徹底比較した。最新データを見てみよう。

【早慶・早大内・国際系】W合格者はどっちを選ぶ?併願パターン別・入学比率などのデータはこちら

■巻き返しの早稲田・政経 慶應・法は揺るがず

「早慶の人気の構図に変化が出てきています」

 こう分析するのは、東進ハイスクールを運営するナガセの市村秀二・広報部長だ。これまで一般的には、政官財に人脈を誇る三田会に象徴されるように慶應大が早稲田大を圧倒してきたイメージが強い。しかし、その流れが変わってきているという。

「早稲田大のアグレッシブな改革の姿勢が、受験生らに響いています」(市村広報部長)

 早稲田大は昨年、田中愛治氏が総長に就任。医学部設置構想を掲げ、政治経済学部の一般入試での数学の必須化など改革を進める。

 早稲田・政治経済と慶應・法に合格し、早稲田に進学した男性(19)は選択の理由を次のように話す。

「今の時代、英語ができないとダメで、統計的な知識も必要。そのどちらも重視しているように見えたのが早稲田です。慶應は三田会のおかげで就職に強いと聞いていましたが、早稲田のほうが実力がつくと思いました」

 早稲田・政治経済と慶應・経済にW合格した学生の入学比率は、昨年は慶應が56%と上回っていたが、今年は67%と33%で早稲田が慶應を上回った。その他の主要学部でも、今年は五分五分近くまで早稲田が巻き返している。あくまで一つの指標にすぎないが、改革の成果の一端が、W合格のデータに表れているともいえる。

「田中総長のメディアへの露出もうまくいっている。国立大志望者の併願先は現在では慶應が多いが、入試改革によって今後早稲田が受けやすくなっていくでしょう」(同)

 ただ現状では、変化の兆しがあるとはいえ、全体的には慶應の入学比率が上回っていることも押さえておきたい。特に看板学部の一つ、慶應・法の入学比率は、併願先の早稲田・政治経済や法より圧倒的に高い。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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