だが、ジェイミー・ジョセフHCの下では武器の一つとして磨かれ、「ここ一番」で発揮された。堀江翔太、ジェームス・ムーア、ウィリアム・トゥポウが3本連続でつなぎ、稲垣啓太が決めた勝ち越しのトライはW杯のハイライトとして語り継がれるはずだ。

 翻って、準々決勝の南アフリカ戦ではスクラムで反則を犯したほか、13回あったマイボールのラインアウトで5回も相手に奪われるなど、セットプレーが崩れたところを突かれ、後半に失点を重ねた。

「日本のやり方が世界に通用する部分も示せたが、最後はスクラムもラインアウトもディテール(細部)の部分で相手のほうがクオリティー(質)が高かった。それが勝敗の分かれ目になった」(稲垣)

 未到の地にたどり着いたことで、新たな壁を知った。ただ、その壁を知ったことは次につながるはずだ。(栗原正夫)

週刊朝日  2019年11月8日号