稲垣啓太がスコットランド戦で決めた勝ち越しのトライ (c)朝日新聞社
稲垣啓太がスコットランド戦で決めた勝ち越しのトライ (c)朝日新聞社

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)で、1次リーグ4連勝と史上初の8強入りを果たした日本代表。番狂わせが少ない競技性を考えれば、アイルランド、スコットランドという伝統ある2チームを下しての躍進は、もはや奇跡ではなく実力でつかんだと言っていい。

 第2戦のアイルランド戦。日本は、パワーと体重で劣るため長く弱点とされてきたスクラムで互角以上に渡り合い、流れを引き寄せた。軽い反則が起きた際にFWが8対8で組み合うスクラムは、攻防の起点となる重要なプレー。ここで優位に立てるか否かは試合の行方を左右する。日本は8人全員が低い姿勢で一体となり、置く足の位置まで1センチ単位でこだわる「日本流」を極め、パワーが自慢の相手に一歩も引かなかった。

 ベスト8入りをかけた第4戦のスコットランド戦では、“オフロードパス”の成功が勝利を呼び込んだ。

 オフロードパスとはタックルを受けて体勢を崩しながらパスを出すプレーで、成功すれば相手の対応が遅れてチャンスに結び付く可能性が高まる。

 一方で、高度な技術が求められるため失敗のリスクがあると、エディ・ジョーンズ前ヘッドコーチ(HC)時代には原則禁止とされていたプレーだった。

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