室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、最近の日本を「北朝鮮みたい」と評する。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 安倍晋三首相は福島、宮城、長野と台風被害の視察にでかけた。一生懸命、テレビが彼を宣伝しておる。

 NHKのニュースなんて、なんでもかんでもはじめに「安倍首相が」ってつけるしな。安倍首相のおかげです、みなさんありがたいと思いなさい、というプロパガンダのようだ。

 すげぇな、北朝鮮みたい。もうこの国はそういう国なんですね!

 なにしろ、現役の大臣が、地元の有権者にメロンやカニを贈ったとされている。

 そういや首相も、自分の地元の後援会関係者を、バス17台分も『桜を見る会』という税金使った宴会に招待してたっけ。

 あたしだけなのかしら? この方たちがとてつもなく下品に感じるのは?

 格差が激しい日本。首相とか大臣とかまでなると、一般クラスのあたしとはまた違った道徳観念をお持ちなのかもしれない。

 首相は、千葉で大停電が起きた台風では内閣改造に精を出し、台風19号上陸の前日はそのことを閣僚たちと話し合ったのは6分間。んで、夜はフランス料理。台風の翌日はのんきにラグビーを見て、

「勝利を諦めないラグビー日本代表の皆さんの勇姿は台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるものだと思います」

 とTweetした。ため息しかでない。

 側近の二階俊博幹事長はおなじく13日、自民党緊急役員会で、

「(台風は)まずまずに収まった」

 などといっちゃう始末。

 国民が80人以上死のうが、なんとも思わないのよ。家を失い避難所生活をしている人たちのことも、ふうんって感じなのよ。

 あたしたちは思い切りバカにされているわけだけど、メロンもらったり、桜を見る会に招待されたりすれば喜ぶ人もいる。それは素人ではないメディア人もおなじだ。むしろ、罪は大きい。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ