消費増税を控え小売店ではレジなどの準備が進む (c)朝日新聞社
消費増税を控え小売店ではレジなどの準備が進む (c)朝日新聞社
軽減税率の線引きは複雑だ(上)/損しないためのポイント  (週刊朝日2019年9月27日号より)
軽減税率の線引きは複雑だ(上)/損しないためのポイント  (週刊朝日2019年9月27日号より)

 消費税が10月1日から10%に上がる。家計には大きな痛手だが負けてはいられない。食料品などに適用される軽減税率を見極め、少しでも増税を回避する。現金を使わないキャッシュレス決済で、最大5%分が還元される制度も見逃せない。ほかにも、低所得世帯や子育て世帯向けのプレミアム付商品券などがある。お得術をマスターして消費増税を乗り切ろう。

【図表】8% or 10%?軽減税率の線引きのまとめと損しないためのポイントはこちら

 消費税率は8%から10%に引き上げられる。食品などは8%に据え置かれるが、家計でみると年間数万~十数万円の負担増になりそうだ。収入があまり増えないのに物価が急に上がるため、このままでは買い物がしにくくなる。

 まず知っておくべきは、今回から導入される軽減税率の仕組み。食料品や飲料品が対象になるといっても線引きは複雑だ。ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは、混乱が予想されると指摘する。

「適用されるかどうかの線引きはあいまいで、店側の対応も遅れ気味です。同じ食料品でも、店内で食べるのと持ち帰るのとでは税率が変わる。店頭で戸惑うことも多くなるのではないでしょうか」

 基本的にはテイクアウトや出前(宅配)は8%で、店内で食べるのは10%になる。スーパーやコンビニなどのイートインコーナーで食べるのは10%だ。

 屋台や移動販売の場合は、テーブルや椅子など店の設備を利用すると10%、設備がないと持ち帰りの扱いになり8%。

 ホテルのルームサービスやカラオケ店内で注文した料理は10%になるので、持ち込んだほうが得になる。客室に備え付けられた冷蔵庫の飲み物などは8%が適用される。

 このように購入方法などによって8%か10%か変わるため、消費者にとってはわかりにくい。下の「損しないためのポイント」にあるように、わからないときは値札やレシートを見て、店員に確認しよう。

【損しないためのポイント】
・外食や酒類は対象にならない。店外に持ち帰る意思を示す
・外食かどうかは、モノだけでなくサービスが伴うかどうかで判断
・わからないときは値札やレシートでチェック。店員にも確認する

 外食チェーンでは、店内で食べるものと持ち帰りの価格をそろえるところも多い。本来は差がつくはずだが、価格に税率分を直接転嫁せず、会社側がまとめて消費税分を支払う。持ち帰りの価格が、結果的に割高になる可能性もある。お得かどうか、いろいろ比較してみる。

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
次のページ