女子57キロ級プレーオフ。伊調馨(前)は川井梨紗子に僅差で敗れた(C)朝日新聞社
女子57キロ級プレーオフ。伊調馨(前)は川井梨紗子に僅差で敗れた(C)朝日新聞社

 あらゆる種目で前例のない「オリンピック5連覇」を目指す、レスリングの伊調馨(ALSOK)の東京五輪出場は風前のともしびだ。世界選手権(9月、カザフスタン)女子57キロ級の出場をかけた「プレーオフ」が7月6日、埼玉県和光市で開かれ、伊調は至学館大学の後輩の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)に僅差で敗れた。

 世界選手権で川井がメダルを取れば五輪代表内定。取れなくても5位以内なら12月の全日本選手権で優勝すれば川井に決定だが、伊調が優勝すれば再度のプレーオフだ。だが日本レスリング協会関係者が「まず川井はメダルを取るでしょう」と話すように、伊調の東京五輪は相当難しい。

 1点を先行し川井の果敢なタックルも巧みな身のこなしでバックを取らせなかった伊調だが、詰められて逆転された。川井の得点に伊調のセコンドの田南部力コーチがチャレンジ(ビデオ判定)を要求するなど拮抗した試合は、終了間際に伊調が川井の足を取り後退させるも1点にとどまり3対3でブザー。ビッグポイントのあった川井が制した。

 伊調は「今日の試合は悔しい。でも自分が弱かったとは言いたくない。梨紗子が強かった。(川井の世界選手権の結果を)待つ立場なので悔しい。でも私が出ても五輪を取れるかわからない。東京五輪を目指す挑戦で新たな経験もできた、後悔はない」と吹っ切れたように話した。

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