世界中から東京に人が押し寄せるビッグイベント「東京五輪」。2020年7月の開幕まで420日余りだが、予測不能なテロの脅威に加え、選手や観客を襲う猛暑、大混雑する鉄道やホテル――。一体どうなるのであろうか。
【大混乱?永田町で3.2倍!ラッシュ時の混雑が予想される駅、路線がこちら】
脅威はテロだけではない。猛暑の中で開催される屋外競技では、選手も観客も熱中症で倒れる危険性がある。特に都内各所を駆け抜けるマラソンが不安視されている。
東京大学の横張真教授(都市工学)は16年8月、当時想定されたマラソンコースを実際にたどった。気温や湿度、日射などを計測、選手や観客が受けるダメージを「安全」「注意」「危険」「極めて危険」の4段階に区分した。
スタート地点の新国立競技場を、当初予定の午前7時半に出発したときは30度。気温はその後徐々に上がり、浅草で折り返す辺りで35度になっていた。東京タワー近くに戻ると、日射が一挙に強くなり、道路の表面温度も上がったという。ビルの日陰や街路樹がない皇居周辺は特に過酷で、復路の大半を「極めて危険」な場所と評価した。
「一番懸念されるのは、都内各地で熱中症にかかった人を受け入れる病院施設等がどれくらいあるかだ。同時に水分補給できる休憩スペースの確保を都心の事業者、下町の商店主にお願いしたい」
関係機関も対策を準備している。日本臨床救急医学会は大量に発生した熱中症患者への初期対応として、重症度ごとに選別する「トリアージ」を行うことで、滞りなく適切に対応できるとしている。国や都は道路を太陽の熱が集まりにくいタイプの舗装にしたり、街路樹を大きく育てて木陰をつくったりする方針だ。
大会期間中に都心部の鉄道網が機能不全に陥って大混乱を招く──。そう指摘するのは、中央大学の田口東(あずま)教授(情報工学)だ。
「通勤客と観戦客の移動が時間と路線の2点で重なると、競技場の最寄り駅のほか、普段利用する路線と主要な駅で大混雑が発生する可能性がある」