2006年、舞台の成功祈願をする赤木春恵さん(左)、京マチ子さん(中央)、石井ふく子さん (c)朝日新聞社
2006年、舞台の成功祈願をする赤木春恵さん(左)、京マチ子さん(中央)、石井ふく子さん (c)朝日新聞社
京マチ子さん (c)朝日新聞社
京マチ子さん (c)朝日新聞社
京マチ子のブロマイドを店頭に置いた浅草のマルベル堂の武田仁店長 (撮影/上田耕司)
京マチ子のブロマイドを店頭に置いた浅草のマルベル堂の武田仁店長 (撮影/上田耕司)

 カンヌ国際映画祭、ベネチア国際映画祭、米アカデミー賞などで賞を受賞した女優の京マチ子さんが5月12日、心不全のため東京都内の病院で亡くなった。95歳だった。友人で昨年11月に亡くなった女優の赤木春恵さんの娘、野杁(のいり)泉さんが本誌に胸中を語った。

【若かりし頃の美しい京マチ子さんの写真はこちら】

「京さんと母とは45年前、NHKのテレビドラマ『四季の家』(橋田寿賀子脚本)で共演したのがきっかけで仲良しになりました。2人は同い年なんですが、そのドラマでは、赤木は京さんの母親役をさせていただきました」

 野杁さんは、2人をつなぐ役割をしていたという。

「2人は全く違う道を歩みました。赤木は89歳になって映画賞をいただきましたけど、京さんは若い頃から大スター。母が亡くなった時には、京さんからお電話をいただきました」

 14日の密葬にも、野杁さんは参列した。

「ご本人のご遺志のもとに、本当に数人の密葬でした。やすらかで美しいお顔でした。母の代わりにお見送りをさせていただき、感謝しております」

 東京・浅草のマルベル堂は、死去が報じられた翌朝から店頭にプロマイドを並べた。

「在庫がありましたので、一番目立つところに出しました。増刷して対応しています」(武田仁店長)

 今後、京マチ子映画祭が各地で予定されている。「フォーラム八戸」など3館で6~7月に上映するフォーラムシネマネットワークの番組編成・長澤綾氏はこう話す。

「亡くなる前から決まっていたもの。一人の俳優さんのタイトルで映画祭を打てる人はほとんどいません。それだけファンの方がいらっしゃるということです」

 広島県の映画館「八丁座壱・弐」では5月24~30日に開く。同館銀幕部長の戸川喜史氏は言う。

「試写で『羅生門』や『雨月物語』などを見ました。昔はフィルムの傷みもあり、映像がぼやけてセリフが聞き取りにくい部分もありましたが、今回は作品にもよりますが、フィルムをデジタル化し、4Kとなって蘇っています」

(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2019年5月31日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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