毎回、お茶とお菓子で殿下をもてなすのも古中さんの粋な心遣いだ。

クリスマスの少し前にいらした寒い日のこと。あまり御所でお飲みにならないと思い、抹茶オレをお出ししました。あっという間にお飲みになって『これは何という飲み物ですか、おいしいですね』と聞かれるので『抹茶オレです』とお伝えました。サロン最後の日には、エテルネル(永遠)という名の紅茶をお出ししたら『ありがとう』とおっしゃっていただいて」

 決して表には出されないが、殿下が孤独と向き合っていることを古中さんはつくづく感じている。

「お使いになるシャンプーの銘柄ひとつとってみても殿下には選択の自由がない。いらした時は、シャンプーの仕方を手取り足取りお伝えしたら『きちんと実践しています』と、来店しているときは本当にくつろいでいらっしゃいました。東宮御所での頭皮ケアを時間の許す限りご要望されていました。陛下にとって私たちが触れることは何より癒やされる時だったのではないかと思います」

(本誌・羽富宏文)

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