腸と脳は密接に関係 「腸内環境」改善が認知症予防につながる可能性
連載「「健脳」養生法――死ぬまでボケない」
腸内には数百から千種類以上の細菌が生息していて、その菌は三つに大別されます。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌。大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌。そして善玉菌でも悪玉菌でもないバクテロイデス属などの日和見菌です。
善玉菌は消化吸収を助けて免疫力をアップさせるなど、健康維持にプラスに働きます。一方、悪玉菌は腸内の内容物を腐敗させます。こうした菌のバランスにより、腸内環境が形成されているのです。そのバランスは善玉菌が20%、悪玉菌が10%、日和見菌が70%というのが理想だと言われていますが、年齢や食事の内容で構成比が変化します。
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は脳における神経伝達物質やその前駆体を産出すると見られています。認知症になった高齢者では善玉菌が激減し、悪玉菌が増加していることがわかってきました。これまで私は多少、腹具合が悪くても腸内環境に無頓着だったのですが、もっと気にした方がいいのかもしれません。
善玉菌を減らさないためにはまずは食事の内容を吟味することですが、活性生菌製剤を飲むという方法もあります。ビオフェルミン、ラックビー、ビオスリーといった薬です。あるいはサプリメントに目を向けると、乳酸菌生産物質というものもあります。いずれにしろ、腸をもっといたわることが大事なようです。
※週刊朝日 2019年4月5日号
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
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