帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真と本文とは直接関係ありません (c)朝日新聞社
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のタイトルは「腸内環境を整える」。

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【ポイント】
(1)認知症と腸内細菌の関連性が注目されている
(2)腸と脳は密接につながっている
(3)腸をもっといたわることが大事

 最近、認知症と腸内細菌の関連性について書かれた記事が複数の新聞に載りました。朝日新聞は2月8日付の朝刊で「認知症、腸内環境と関連?」という見出しで掲載しています。

 記事は国立長寿医療研究センターなどのチームが発表した研究結果を紹介したもので、論文が英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載されたそうです。

 研究チームは2016年3月から1年間、同センターのもの忘れセンターを受診した患者について、腸内細菌の構成割合や認知症の有無を調べました。

 有効なデータが得られた60~80代の128人分を解析したところ、認知症と腸内細菌の構成割合には強い関連があることがわかったというのです。

 腸に常在する「バクテロイデス」という菌が腸内細菌の3割以上を占めた人たちは、バクテロイデスが少なく、そのほかの菌の割合が多い人にくらべて、認知症の傾向が低く10分の1だというのです。

 腸内細菌の構成割合と認知症発症の因果関係はわからないものの、腸内細菌の作る物質が脳の炎症を引き起こす可能性が考えられるというわけです。研究にあたったもの忘れセンターの佐治直樹副センター長は、「食習慣との関連も解明して食事などを通じた(認知症の)予防法の開発にもつなげていきたい」と話しています。

 もとより腸と脳はホルモンや自律神経を通して密接につながっています。緊張するとお腹が痛くなったり、逆に便秘をするとイライラしたりします。脳の異常が腸に、腸の異常が脳に影響するという相互の関係があるのです。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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