定位置獲得を狙う遊撃は先輩の京田陽太がおり厳しいが、中日の二塁はレギュラーが固定されていない。根尾は本来の遊撃でなく二塁でも守備練習を行っている。遊撃で使うか、二塁で起用するか。長期的な視点で大きく育てるなら2軍で遊撃手として試合で育てる選択肢もある。与田剛監督の手腕が注目される。

 根尾と同様にまだ本来の力を発揮していると言えないのが日本ハム・吉田輝星だ。金足農業では昨夏の秋田大会初戦から甲子園準決勝までの10試合を完投。計1517球の鉄腕ぶりで同校史上初の準優勝に導いた熱投は感動を呼び、「金農旋風」は社会現象になるほどだった。ドラフトでは根尾の外れ1位で日本ハムに入団。ただ、金の卵もまだ粗削りだ。春季キャンプは2軍スタートでブルペンでの投球練習を視察した他球団のスコアラーは、「指にかかってバランスよく投げた球は超一級品だが、まだその精度が低い。昨夏の甲子園のときと比べると、これから状態を上げる段階だと思う」と分析する。首脳陣も将来のエースになりうる右腕をじっくり育てる方針だ。オープン戦で結果を出しても、ファームで体作りと並行して先発で実戦経験を積ませる公算が大きい。

 夏場以降の1軍デビューを目指すのが現実的だろう。

 評価を上げているのが昨夏の甲子園優勝投手・日本ハムの柿木蓮(大阪桐蔭)だ。チームメートだった根尾、藤原がドラフト1位で入団したのに対し、ドラフト5位で日本ハムに入団。プロのスカウトからは「すでに完成されている感じがする。伸びしろを考えるとどうか」という声が多かった。本人も下位指名で期する思いが強いだろう。直球が驚くほど速いわけでなく、絶対的な変化球を持っているわけでもないが、マウンドさばき、打者を打ち取る投球術にたけている。先発でなく、ロングリリーフの中継ぎでも使える適性を持っており、吉田より1軍デビューが早いかもしれない。(梅宮昌宗)

週刊朝日  2019年3月15日号