「だからあくまで自分の人脈で組閣しようとして、四苦八苦してるみたいです。阿波野さんは与田さんの大学の先輩だし、西武OBだから森さんが押し込もうとしてるのかなと思える伊東ヘッド案も、実はNHKとWBCで一緒にやったときに気が合ったから、ということで与田さん自身が誘ってるとか。自薦他薦も含めコーチは寄せ集めのようなメンバーになりそうで、まともな指導実績があるのは伊東さんくらいじゃないですか。だから心配なのは、せっかく根尾君を指名できたのに彼をキチンと育てられるコーチがそろうの? ということです」(同前)

 プロ野球も“組織”という意味では会社と同じ。新入社員の根尾君は上司を選べない。良いコーチとの出会いを願ってやまない。

「原さんは『90点』と言ってましたが、強がりもいいところ。90点というなら、それは1000点満点の90点でしょ(笑)。巨人が1位指名のクジを2回外してから無名の大学生を指名したとき、他球団のスカウトが笑ってましたからね。原さんの『左投手ではナンバーワンの評価をしてました。我々の中では即戦力』というコメントは苦しい言い訳に聞こえました」

 巨人を長く取材する野球記者は、こう言って原辰徳新監督の下で行われた今回の巨人のドラフトを酷評した。その背景には監督に復帰した原氏が、ここまでやるか、というほど極端に自分のシンパを集め、優遇する人事を行ったことがある。コーチだけでなくスカウト部長までドラフト直前に交代させてしまったのだ。新スカウト部長は原新監督の東海大の後輩である長谷川国利氏。彼は有能なスカウトではあったが最近は査定担当だった。それがドラフト直前の時期に岡崎スカウト部長を外して長谷川氏を後任にする驚きの人事異動が行われたのだ。

「ドラフト当日も原さんは長谷川さんと話してばかり。直近の現場を知らない2人が巨人のドラフトを仕切ったってことです。当初は投手の吉田(輝星、金足農)だった1位指名候補を原さんの意向で内野手の根尾に代え、それが外れたら外野手の辰己(涼介、立命館大)を指名し、その抽選も外したら投手の高橋(優貴、八戸学院大)と、指名した選手のポジションがバラバラ(笑)」(同前)

 原氏が戻って来て巨人のドラフト戦略が混乱した、と多くの野球ファンが感じたのではないだろうか。

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「阪神のドラフトも迷走した」と話すのは…