プラークを放置しておくと、そこにどんどん歯周病菌が集まってきて増殖します。そして歯周病の毒素を出し続けます。歯周病菌は酸素のないところで活動する性質を持つ偏性嫌気性菌や嫌気性菌です。増殖して元気になった歯周病菌の群れは、空気が届きにくい歯肉から歯肉溝(歯肉と歯の間の溝、歯周病が進行すると歯周ポケットとなる)に向かって移動を始めます。

 歯肉や歯肉溝入り口から少し中に入った部分のプラークは歯ブラシで簡単に取り除くことができません(普通、ここは歯ブラシをあてませんよね)。

 さらにプラークが歯肉溝の中に入ってしまったらお手上げです。この部分を広げて中に歯ブラシを突っ込むことは、できないからです。

 取り除けなかったプラークは次第に石灰化して、唾液中のミネラル分とくっついて硬い歯石になります。こうなると全く歯が立ちません。硬いもので削らない限り、取り除けないのです。

■4~8時間後から徐々に石灰化が始まる

 歯肉溝の中のプラークも歯石になるのでさらにやっかいです。そして歯石は一見、おとなしそうにみえますが、表面が荒れているために細菌が付着・増殖しやすく、細菌の巣窟になり、さらに細菌を自身の中に取り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続け、歯を支える歯周組織や骨を溶かしていくのです。

 なお、プラークは歯に付着後、4~8時間後から徐々に石灰化が始まり、約5割が2日間で、全体の約6~9割は12~14日間で歯石になることがわかっています。

 つまり、2、3日歯みがきを怠ると、口の中が歯周病菌だらけになると考えてください。

 そこでメインテナンスの出番です。メインテナンスはPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とも呼ばれます。歯科衛生士による専門的なクリーニングという意味です。

 メインテナンスではスケーラーと呼ばれる器具を使い、歯面や歯周ポケットの浅い部分に付着したプラークや歯石を削り取っていきます。さらに汚れの取れにくい、セメント質はキュレットという器具を使い、清掃します。

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約3カ月に1回のメインテナンス