進行した歯周病の患者さんの歯肉溝の中を掃除すると、出血で赤黒く染まった歯石がびっしりとついていることがあります。これもキュレットなどを使うときれいになります(これらで取りきれないものは歯肉を切り開く手術をして、取り除きます)。

 では、歯科医は自分の歯を誰にクリーニングしてもらっているのか、と思う方もいるでしょう。多くは、歯科衛生士にお願いしてやってもらうようで、私自身も自分の医院の歯科衛生士に、定期的にメインテナンスをしてもらっています。

 もちろん、歯周病にならないために日々のセルフケアは重要です。歯みがきを適当にしていて、歯科医院頼みにしていたら、メインテナンスの前に歯周病になってしまいますし、お金もかかります。

 つまり、メインテナンスはセルフケアの努力を最大限に生かすためのものと考えてください。

 個人差はあると思いますが歯周ポケットの中に残っている細菌が繁殖してくるのは、付着して4カ月を過ぎた頃からですので、きちんと歯みがきをしている人であれば3~4カ月に1回のメインテナンスで十分に歯周病の進行を抑えることができます。

◯若林健史(わかばやし・けんじ)
歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演

著者プロフィールを見る
若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

若林健史の記事一覧はこちら