![若林健史(わかばやし・けんじ)/歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/840mw/img_63fcc7d05f8decb1dc64acbe29869b06118993.jpg)
![プラークはやわらかいので、歯みがきやデンタルフロスなどによるセルフケアで取り除くことができる(※写真はイメージ)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/f/2/620mw/img_f2e71f4923db8eba7d33d3fb37144b9b20698.jpg)
国民の約7割が感染しているという歯周病。セルフケアだけで予防するのは難しいといわれますが、それはなぜでしょうか? また、歯科医院でのメインテナンスはどのくらいの頻度で受けるのがいいのでしょうか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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この連載の第3回で、歯科医院でのメインテナンス(歯ブラシで取りきれない歯垢を取り除いたり、歯ブラシの指導を受けたりする処置)による歯周病予防効果について、有名な研究報告を紹介しました。
歯周病の治療後に、メインテナンスを受けずに検査だけを受けた群では6年後に歯肉の状態が悪化したり、歯周ポケットが確認され、進行した歯周病になった人が89%にものぼったのです。
歯周病を治療した後は、治療前に比べて歯みがきも入念にするはず。にもかかわらず、なぜセルフケアだけでは歯周病の進行が止められないのでしょうか。
歯周病菌は口の中にいる常在菌の一種。単体では悪さはせず、増殖をすることによって活発に働くようになります。その原因となるのがプラーク(歯垢)。
歯についた食べかすがあると、口の中の歯周病菌がこれをエサにします。そして、白くてネバネバとした物質を作り出します(歯の表面を爪でなぞると、白っぽいものがついてきます)。これがプラークです。
プラーク1mgの中には10億個の細菌がすみついているといわれます。実験では、食べかすが歯についてから約24時間でプラークが形成されることがわかっています。
プラークはやわらかいので、歯みがきやデンタルフロスなどによるセルフケアで取り除くことができます。しかし、百パーセント清掃することは難しいのも現状です。
例えば歯並びが悪いと、歯ブラシが当てにくいので、その部分にプラークがたまります。
また、忙しさなどでていねいに歯みがきができない日もあります。つまり、みがき残しが出てしまうのです。