高齢者ホーム探しに当たっては、病院を退去させられたなどの事情で、「できれば明日にでも入りたい」と、ホーム探しを急ぐ人も少なくない。ただし、甘い言葉に乗せられてしまうと、準備不足のホームに放り込まれることになりかねないのだ。

 また、家族への説明では、「お任せください」も要注意ワード。

「私の経験から言うと、何かお願いしたとき、(家族と)一緒に支えましょうと言うホームのほうが、信頼度は高いですね。ほかに定義があいまいで誤解が生じやすい『看取り』や『認知症対応』などは、しっかりしたホームほど、軽々しく『できる』とは言わないものです」(濱田さん)

 末木さんも言う。

「とくにホームと入居者(または家族)の間で誤解が生じやすいポイントは、医療の対応や、看取り、リハビリの頻度など。例えばホームが看取りOKとうたっていても、常時点滴になったときなどは入院させるケースもあるでしょう。何をもって看取りとするか、入居時から家族とホームがきちんとすりあわせをしておく必要がありますね」

 これには見学時、「過去の看取りの例を教えてください」と質問しておくのがいいという。

 またこんなポイントから、スタッフの配置が適切で、人手に余裕があるホームかどうかがわかることがある。民間介護施設紹介センター「みんかい」の経営スタッフ、小嶋勝利さんが解説する。

「自分がかつて職員をやっていた経験から、入居者の旅行や買い物などのイベントには、大変なマンパワーが必要なことがわかります。それでも入居者の喜ぶ顔が見たいと、イベントを多く開催しているホームは、職員の気概もあって、しかも人手に余裕があるところと考えていいでしょう」

 一方、入居者の様子から、人員配置が適切か見極めることができるというのは、末木さんだ。

「食事時間に食堂に行ってみると、流動食の入居者にきちんと靴を履かせて食堂で食事をさせているホームがあります。寝たきりにならないよう、パブリックスペースに出るときには着替えて、生活にメリハリを与えている証拠。人手不足のホームではできません」

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