記録的な猛暑が続くなか、紫外線対策も気をつけたい。日陰を選んで歩いたり、帽子や日傘を利用したりすることは今や必須ともいえるが、そのうえで「日焼け止め」の利用も欠かせない。乳液やジェル、スプレーから、飲むタイプまで、いろいろそろっているが、「便利」「簡単」などだけで選んでいると、肌が痛い目にあうかもしれない。効果的で上手な日焼け止めの選び方、使い方を皮膚科専門医に聞いた。
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現在市販される日焼け止めは、大きく分けて、乳液やジェル、スプレーなどの「肌につける」タイプと、サプリメントのように「飲む」タイプがある。
日焼けの原因になるのは、おもに紫外線B波(UVB)と紫外線A波(UVA)である。このうちB波は肌細胞の遺伝子(DNA)までも傷つけ、深刻なダメージを与え、皮膚がんの引き金にもなる。これに対してA波は、肌細胞の酸化を進める活性酸素をつくることで肌にダメージを与える。これらを踏まえ、ひふのクリニック人形町・院長の上出良一医師は言う。
「飲む日焼け止めは活性酸素を抑える抗酸化剤であり、理論上はA波には効く可能性はありますが、B波にはそもそも無力といえるでしょう。乳液やジェルなどの肌につけるタイプは、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤とも呼ばれるように、紫外線をはねのけ吸収して、紫外線が肌に侵入しないようにしています。飲むタイプではこの侵入を防ぐことはできません」
日焼け止めの効果はSPFとPAで表示されている。SPFはB波を防ぐ効果を示し、数値が大きいほど効果が高く、最高は「SPF50+」。PAはA波を防ぐ効果であり、「PA+」から「PA++++」の4段階で示され、「+」が多いほど効果が高く、最高は「PA++++」。
「飲むタイプの効果をSPFやPAであらわすと、多くの論文で、よくてSPFなら『2』程度、PAなら『+』弱程度、とされています。最近の米国の論文では、紫外線量が少量だった場合に、皮膚の赤みがわずかに抑えられたとの報告もありました。これらが飲む日焼け止めの現状であり、日焼け止めをしたつもりになって紫外線に無防備になることによる肌トラブルが懸念されます」(上出医師)