6日目阿炎に敗れた白鵬。土俵に座布団が飛び交った(c)朝日新聞社
6日目阿炎に敗れた白鵬。土俵に座布団が飛び交った(c)朝日新聞社

「見ての通りです。いい相撲を取りましたね」

 大相撲夏場所6日目の、結びの一番。前頭2枚目の阿炎(あび・24)の初挑戦を受けた白鵬(33)が押し出され、国技館は無数の座布団が飛び交う大騒ぎとなった。伸び盛りの新鋭の勢いが見事だっただけに横綱のもろさが際立ったが、当の白鵬も痛感したに違いない。冒頭の言葉は白鵬自身のもので、他人事のような言い回しに、かえって本人のショックの大きさが表れていた。

 横綱審議委員会(横審)から「美しくない」と非難された立ち合いの張り差しを封印して臨んだ1月場所で途中休場。初の2場所連続休場明けの今場所初日は、平幕の玉鷲相手に立ち合いで封印していたはずの張り差しを繰り出し、余裕のなさが隠せなかった。

「白鵬は場所前の横審の稽古総見のときから張り差しをやってました。背に腹は代えられないというか。もう圧倒的な強さがない白鵬は『強い相手にまともに当たったら勝てないから、見苦しい立ち合いをする』と言われてます。今場所で大関獲りに挑戦している栃ノ心のほうがよほどどっしりとした横綱相撲で(笑)、『白鵬が栃ノ心と当たるとき、どんな立ち合いをしてくるかが見物だ』と言われてます」(相撲担当記者)

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