「当時、理財局長だった佐川氏は、『公文書改ざんの責任はあるが、自分は改ざんの指示をしていない』と改ざんの関与を否定している。だが、理財局の担当者らは『局長の指示、了解がなければ公文書改ざんなどできません』という趣旨の話をしている。電子決裁なのですべての記録があり、誰がいつ、誰の命令で改ざんしたのか、客観的に明確。立件の突破口になる可能性がある」(前出の捜査関係者)

 森友学園が昭恵夫人案件だったことは、大阪府が5月、開示した「瑞穂の國記念小學院」に関する私学審議会の議事録(2014年12月から17年12月まで)からも読み取れる。昭恵夫人の存在を懸念する委員の発言が掲載されている。

「(森友の)ホームページを開いて頂いたら、先日も安倍首相の奥様をお呼びされたり……」(14年12月)

「安倍首相の奥様が名誉校長になられたという記事について、大阪府は把握されているのですか?」(16年12月)という質問に対し、大阪府職員が「正式になったという報告はいただいていない」と回答。すると委員から、「一般的になんでそうなるか興味がわくでしょうし、我々もなんで?どういう経緯で?と当然気になります。それをスルーしていくと後で、大きな問題になるのかなと思います」などと、現在を暗示するような懸念が述べられていた。

 大阪府私学審議会の梶田叡一会長は15年9月、昭恵夫人と会っていた。奈良県で開催されたイベントに、昭恵夫人は谷査恵子・夫人付政府職員(当時)とゲストとして参加、梶田氏は挨拶に向かったという。昭恵夫人が森友学園の小学校の名誉校長に就任する前日だ。梶田氏は私学審の会合について、こう説明した。

「委員から昭恵さんの情報提供はありましたが、最大の問題は森友学園の財務状況でした。私もあまり気にも留めず、スルーしてしまいました。だが、昨年2月の朝日新聞の報道を受け、森友学園について知らなかった事実がいっぱい出た。疑義をただすため、私学審の臨時会を招集。そのときは昭恵さんのことも話題になりました。疑問点を列挙して森友側に質問書を送ったら、籠池さんは小学校の設置申請を取り下げました」

 今後、国会では加計疑惑に続き、森友疑惑が再燃するのは必至だ。自民党重鎮がこうぼやく。

「財務省のセクハラ問題でミソをつけた麻生さんは安倍さんにもう一回、解散して疑惑をリセットしようと進言しているそうです。だが、予想より安倍内閣の支持率が下がっていないので、二階さんは解散に反対。国会を会期延長せず、数の力で押し切ろうとしています。安倍さんは3選を万全にするため、票固めに動いています。こんなデタラメがまかり通るなんて世も末だよ」

(今西憲之/本誌・亀井洋志、森下香枝)

週刊朝日 2018年5月25日号より加筆

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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