安倍首相夫妻 (c)朝日新聞社
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財務省理財局が起案した文書 >>【近畿財務局が起案した文書はこちら】
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近畿財務局が起案した文書
近畿財務局が起案した文書

 財務省による文書改ざんをめぐり、自民党はこれまで18日をメドとしてきた改ざん前の決裁文書などの国会への提出を一転し、23日まで延期する考えを野党側に伝えた。

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 与党の豹変に野党は反発し、18日の提出を前提に21日で調整されていた集中審議は行われない見通しとなった。
 
 財務省は5月中にも、国有地払い下げをめぐる森友学園側との交渉記録を国会に提出する予定だった。近畿財務局のメールなども含め、500ページにも及ぶというが、与党がずるずると日程を引き延ばす可能性もある。

 柳瀬唯夫元首相秘書官の国会招致で「加計ありき」疑惑が再燃し、さらには廃棄されたはずの森友文書が大阪地検特捜部の捜査でよみがえる悪夢を自民党が懸念しているからだ。

 いずれにせよ、安倍晋三、昭恵首相夫妻を待ち受けるのは、国会に投下される“紙爆弾”と大阪地検特捜部の捜査だ。

 佐川前国税庁長官や迫田英典・元国税庁長官の立件は困難と地検が判断したという報道も出たが、捜査関係者がこう言う。

「現在も捜査は継続中です。迫田氏は『詳細は知らなかった。全く関与していない』と事情聴取で話していたが、迫田氏の部下たちは昭恵夫人が名誉校長に就任することや、多くの政治家が関与していた事実を知っていました。国有地の大幅値下げも明確に誰かが指示したというより、職員たちのふわっとした忖度のようなものを感じる。背任で起訴できるか、見極めはまだ時間がかかりそうだ」

 では、もう一つの容疑である公文書改ざんの捜査はどうなっているのか?

 本誌が独自入手した資料によると、14文書のうち13文書は持ち回りで印鑑を押すスタイルの近畿財務局が決裁したものだった。だが、残る1文書は財務省理財局が電子決裁した「普通財産の貸付けに係る特例処理について」という文書だ。

「これは森友学園に国有地を払い下げるのに、『貸し付け』特例を認めるための決裁で、2015年4月28日に財務省理財局国有財産業務課国有財産審理室訟務係の担当者が起案し、2日後の30日に電子決裁を完了させた記録が残っていた。だが、森友疑惑が浮上した昨年4月4日に、電子決裁して登録した公文書を再度、ダウンロードし、内容を書き換えてから再登録していた。大阪地検はかなり綿密にこの文書が改ざんされた経過を事情聴取しているようだ」(財務省関係者)

 財務省が公表した資料で確認すると、問題の財務省理財局の文書には、書き換え前は《「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり》《平成26年4月 安倍昭恵総理夫人 講演・視察》《理事長 籠池康博氏 同氏は、「日本会議大阪(注)代表・運営委員」》《日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任》などの記述があった。しかし、その後に政治とかかわる部分がことごとく改ざんされていたのだ。

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