藤:「オビは林真理子とユーミンだ」と、まずオビから始まったんです。
林:貴乃花親方もオビに書いてましたね。
藤:貴乃花親方からたまたま電話かかってきたときに、そうだ、と思って「光司君、ママと一緒に撮った写真、使ってもいいかな。今、本を書いてるんだ」と言ったら、「真利子さん、ベストセラーですね」とか言って、「オビ書かせてください」って向こうから言ってくれたの。
林:いい人じゃないですか。昔からおすし食べに連れてってあげたりしたんでしょう?
藤:そうよ。そして見城さんはいやいや担当の編集者を決めてくれて、私が10時間ぐらい話して、ライターさんがそれをまとめるというやり方でいったんは決まったの。でも私、「ちょっと待ったァ!」みたいな感じで、母と私とのいろんなこと、たとえば林さんにも言ってないし、昔からの友達にも言ってないし、私の彼にも話したことがないようなことを、知らないライターさんにしゃべれるかなと思ったの。
林:それはそうですよね。
藤:それで「やっぱり自分で書いてみます」と言ったの。編集者にはちょっとテストをされて、「だったら最初の『はじめに』を書いてください。それによって、この本をどんな本にしたいか、スタンスが決まる」って言われて。
林:プロの言葉ですね。
藤:それで「はじめに」を書いたんだけど、すごく短い文章だったので、これだけじゃ“審査”に通らないなと思って、第1章のあたまの、私が舞台に行っている最中に母が脳梗塞で倒れた日のことを書いて送ったの。そしたら「このまま書き進めてください」と言われて、ドラマのお仕事の合間に必死に書いたんです。私、何十枚かの原稿は書いたことあるけど、あれだけ長いものは書いたことがないでしょ。200字詰めの原稿用紙に手書きで書いたんだけど、「500枚」と言われて、最終的に504枚であげたんです。
林:本を書いたことがない人が、手書きで500枚って大変だと思う。
藤:林さんと同じで腱鞘炎みたいになって、始めたころは最後までもつかな、と思いました。でも、とりつかれたみたいになっちゃって、こっくりさんみたいに手がどんどん動いちゃうのよ。