「核廃絶というゴールは共有している」「立場の違う国々の橋渡しをしたい」というものの、「北朝鮮の脅威」をかかげ、

「日米同盟のもと、核兵器を有する米国の抑止力を維持しなければならない」「(条約には)署名できない。参加すれば核抑止力の正当性を損なうことにつながる」

 とペーパーを読みながら、いっていました。

 核廃絶というゴールは共有しているというのなら、勇気を出して署名しなくてどうします? 立場の違う国々の橋渡しって、だからそれをICANは日本にお願いしているのです。日本は核兵器を保有しているアメリカと仲が良いし、アメリカに核を落とされたんですから。

 討論会で、共産党の志位委員長が、「核抑止力論って、脅しでしょ」というようなことをいっていました。

 脅しで安全・平和を目論む。国として、そこに正しさはいらないのでしょうか? 抑止力という野蛮な脅ししか、ほんとに打つ手はないのですか?

週刊朝日 2018年2月9日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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