日本は世界に先駆けて、2035年には人口の半分は独身になるという。これまでの社会と何が変わるのか? 博報堂「ソロもんLABO」リーダーの荒川和久氏がレポートする。
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日本が「超高齢社会」であることは周知の事実だろう。しかし、実は、高齢者人口より独身人口のほうが多くなるということをご存じだろうか? 国立社会保障・人口問題研究所が2012年に出した配偶関係別人口推計によれば、35年には15歳以上全人口の5割が独身者となる。しかも、高齢者人口約3740万人に対して独身者は約4800万人と、高齢者より独身者の人口のほうが上回ることになるのだ。つまり、日本は超高齢国家である以上に、独身者がマジョリティーとなる「超ソロ国家」になってしまうのである。ここで言う独身とは未婚だけを指すのではない。配偶者との離別・死別に伴う独身も含む。結婚した人たちにとってもソロに戻るリスクは常にあるわけである。つまり、結婚しようがしまいが、子どもがいようがいまいが、誰もが「ソロで生きる」ことを考えなければいけない時期にきていると言えるのだ。
生涯未婚率という言葉を聞いたことがあるだろう。50歳時点での未婚率を指すが、国勢調査がスタートした大正9年以降、昭和にかけてその値はずっと5%を上回ることはなかった。日本はほぼ国民全員が結婚する皆婚社会だったからだ。しかし、これも2035年には男の3人に1人、女の5人に1人が生涯未婚になる。
さらに、単身世帯も4割近くに増える。かつて標準世帯と言われた「夫婦と子」世帯だが、もはや単身世帯にその数は抜かれている。 同じ屋根の下に親子が「群」となって暮らす家族の姿は、もはや風前の灯となりつつあるのだ。これは、日本だけの話ではない。先進諸国の中では世界的な傾向だ。社会構造そのものが個人化の方向にシフトしているのである。