認知症予防のために取り組んでいることがあるか(週刊朝日 2017年11月10日号より)
認知症予防のために取り組んでいることがあるか(週刊朝日 2017年11月10日号より)
認知症予防のために取り組んでいること(1)(週刊朝日 2017年11月10日号より)
認知症予防のために取り組んでいること(1)(週刊朝日 2017年11月10日号より)
認知症予防のために取り組んでいること(2)(週刊朝日 2017年11月10日号より)
認知症予防のために取り組んでいること(2)(週刊朝日 2017年11月10日号より)
認知症予防のために取り組んでいること(3)(週刊朝日 2017年11月10日号より)
認知症予防のために取り組んでいること(3)(週刊朝日 2017年11月10日号より)

 情報があふれる認知症予防法。専門知識を持ち、日々患者と向き合う医師は、どんなことを有効と考え、実践しているのだろうか。本誌は、医療情報サイト「MedPeer」の協力を得て、独自に調査。現役医師300人超が明かした「私の認知症予防法」を紹介する。

【リストはこちら】認知症予防のために取り組んでいること

 ペインクリニックの第一人者、JR東京総合病院(渋谷区)名誉院長の花岡一雄医師は、71歳のいまも現役で、日々患者と向き合う。担当する患者の顔を見ただけで、プライベートな些細な会話や患者の悩みなどを、つぶさに思い出す。

「医者の不養生で、何もしていないですよ」

 と笑うが、その記憶力はどうやって保っているのだろうか。

「しいて言うなら、週に1回、その週に起こったことを振り返るようにはしています。その日のことは思い出せるけれど、1週間前となると記憶があいまい。それを、日記やスケジュール帳をチェックして、修正しています」(花岡医師)

 ほかにも、ほぼ同じ時間に寝起きする、通勤の電車はひと駅分歩く、休日は趣味のガーデニングにいそしむなど、頭も体もしっかり動かしている。

「認知症は病気ではなく、さまざまな症状が集まった現象のようなもの。だから、先々を悲観するより、前向きに生きることに重きを置いています。それが予防といえば予防。僕が診ている患者さんの中には100歳近い人がいる。その姿からも、元気をもらっていますね」(同)

 超高齢化を迎えたいま、関心がますます高まる認知症予防。ちまたにはさまざまな情報があふれているが、現役の医師はどんな予防法を有効と考え、実践しているのだろうか。

 本誌は今回、10万人以上の医師が参加する情報サイト「MedPeer(メドピア)」の協力を得て、医師へのアンケートを実施。「実践している認知症予防の取り組み」と「有効だと考える予防法」について聞き、一部の医師に直接、取材した(※1)。なお、結果は医師個人の見解であって、エビデンス(科学的根拠)に基づくものとは限らない。だが、考え方や参考にした知識は役立つだろう。

 まずは、「認知症予防のために取り組んでいることがあるか」という質問から。「ある」と答えた医師は88人で、全体の約3割だった。当然ながら、年代が上がるほど高かった。

 取り組んでいる予防法で最も多かったのが、ウォーキングなどの運動系で45人。「取り組んでいることがある」と答えた医師の約半数にのぼった。具体的には、「自転車で丘を登りながら『100−7』の連続計算や川柳、一人しりとり」(一般内科・70代男性)、「定期的な運動を、一人ではなく仲間と行う」(整形外科・スポーツ医学・50代女性)などがあった。

 湘南中央病院(神奈川県藤沢市)院長で整形外科医の池田全良医師(50代)も、自宅周辺での散歩を日課にする。散歩中はいろんなことを考え、頭を働かせる。

「“体を動かせば認知症にならない”ということではありません。体を動かせるということは、活動性を高い状態に保っている証拠。ひいては寝たきりが防止できます。これが結果的に認知症の予防に大きく影響していると考えています」

 と池田医師。活動的で積極性がある患者のほうが、しっかりしていて「認知症から遠い」(池田医師)という印象はあるという。

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