阪神はその第2戦を落とし、第3戦も敗れた。だが、私は阪神の金本監督が一切、恨み節を言わなかったことをたたえたい。選手も同じだ。「あそこで中止にしてくれていたら……」などという者はいなかった。この姿勢には、断腸の思いで試合開催に踏み切ったセ・リーグの方たちも救われたのではないか。

 18日のファイナルステージ第1戦では、DeNAが雨に泣いた。五回に広島に3点を先制された直後にコールドゲームとなった。だが、ラミレス監督も「天気はコントロールできない」と潔かった。阪神、DeNAともに屋外球場を本拠としていることもあるのだろうか。決められたルールの中で行うのが野球。それを理解して戦っている姿に好感を持った。

 ただ、ルール改正は必要だ。どんな天候でもファーストステージは3試合行った上で白黒をつけてほしいと思う。ファイナルステージとの間の予備日を1日増やすだけでも違う。予備日を増やすと、ファーストステージを戦うチームの先発ローテーションにゆとりが生まれるという意見もあるが、すでに待ち受けるリーグ優勝チームには1勝のアドバンテージと本拠地開幕権が与えられている。そこまで優遇措置を考える必要はないと思う。

 パは私が現役時代を過ごした西武が初戦に完勝しながら敗れた。残念だが、第2戦に先発した十亀、第3戦先発の野上は短期決戦で勝つことの難しさを感じただろう。飛躍の糧としてほしい。辻監督1年目でチームは確実に変わった。来年こそ、リーグ優勝を勝ち取り、日本一の舞台へと歩を進めてほしい。

週刊朝日 2017年11月3日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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