雨天決行されたセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、開催された理由とルール変更の必要性を説く。
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セ・リーグのCSのファーストステージ、阪神-DeNAが行われた甲子園球場は連日の雨にたたられた。10月15日の第2戦は、甲子園球場のグラウンドを管理する阪神園芸の方たちの努力にもかかわらず、田んぼのような中でのプレーとなった。打球は止まるし、投手は球が滑って、DeNA・筒香の顔近くに球が行くこともあった。
選手の安全を考えれば、中止にしなくちゃいけないよね。こんな大雨の中で野球をやっても選手のパフォーマンスが落ちる。果たしてファンはこの状況下による結果をCSの大きな1勝と受け止めることができるだろうか。
「何でやったの?」という声に応えるには、まずルールを知る必要がある。開催の可否を決めるのは、主催球団ではなく、リーグだ。CSは【1】勝利数が同数の場合は上位チームの進出とする【2】雨天中止が複数試合あっても予備日は1日だけ【3】ダブルヘッダーは行われない、とある。つまり、最大でも4試合分の日程しかなく、2試合中止になったら、上位チームの阪神が1勝した時点で終わり。4日間とも雨天中止となれば、阪神は0勝で勝ち抜けるというわけだ。
14日の初戦に阪神が勝った。さらに15日の時点で、翌16日の天候はもっと悪化することが予想されていた。つまり、15日の試合を中止にして16日も中止なら、阪神1勝だけで勝ち抜けが決まっていた。このルールでやる以上、15日の強行開催は致し方なかったと言わざるを得ない。リーグの中止判断だけで、戦わずしてDeNAの敗退が決まっていたら、もっと大きな問題に発展しただろう。