そのいいちこを通じて、2人と本誌は意外な「ご縁」がある。20年ほど前、ビリー・バンバンは「週刊朝日」のテーマソングを作り、歌ってくれていたのだ。

 河北氏が当時の本誌編集長と仲が良く、その関係で話が持ち上がったという。東京での本誌発売が毎週火曜日であることにちなんで、曲名は「TUESDAY’S LOVE」。河北氏が詞を作り、進さんが曲をつけた。

「メロディーは、すぐできました。何も悩まなかったことを覚えています」

 ちなみに、テーマソングは当時、8センチCDとして製作され、本誌編集部はそのCDを読者プレゼントなどに使っていた。現在は、2人が手がけたCMソングなどを集めた「40周年記念ベストアルバム テーマ・ソングコレクション~また君に恋してる~」に収められている。

 閑話休題。仕事でずっと一緒にいなければならなかったことなどで、ぶつかることも多く、決して仲がいい兄弟とはいえないが、そんな2人の橋渡し役を務めたのが、昨年、96歳で大往生した母親だった。口をついて出てくるのは感謝の言葉だ。

「きれいでおしゃれで、明るい人でした。僕たちのことをよく理解してくれ、方向性の違いなどでいったんは別れた2人を再びひっつけてくれたのも母の一言がきっかけでした」(孝さん)

「母自身が音楽好きでしたが、音楽に本当に理解がありました」(進さん)

 本の読者へのメッセージはどうか。孝さんが、

「僕らの年代で病気になる人が増えている。僕は車いす生活だけど、ぜひ自分におきかえて読んでほしい。困ったときにどうすればいいか、参考になることがいっぱいあるはずです」

 と言えば、進さんは一言、

「ポジティブに読んでほしい。ただ、それだけです」

 どこまでも前向きな2人。今年でデビュー48年だが、50周年どころか、60周年を迎えられるまで音楽活動を続けていきたいとのことだ。

週刊朝日 2017年9月22日号