兄の菅原孝さん(右)と弟の進さん=都内の自宅近くで、横関一浩撮影
兄の菅原孝さん(右)と弟の進さん=都内の自宅近くで、横関一浩撮影

 兄弟デュオとして知られ、本誌とも意外なつながりがあるビリー・バンバン。3年前、兄は脳出血、弟は大腸がんに倒れ先行きが心配されたが、今年3月には復活コンサートを開くまでに回復した。兄は依然、車いす生活だが、病気に悩む人々を励ますことができればと、闘病とこれまでの音楽活動を本にまとめた。

 タイトルは『さよなら涙リハビリ・バンバン』(秀和システム)。兄の菅原孝さん(73)と弟の進さん(69)が書き下ろした初の自伝エッセーだ。リハビリ・バンバンは、孝さんが休んでいて進さんが一人で活動していたときに使っていた言葉という。

「ふと思いついたんです。兄が元気になるまではビリー・バンバンと名乗りたくなかった。兄はリハビリに頑張っているから、『リハビリ・バンバン』だなと。そしたら、受けましてね。それからは、お客さんへの受け狙いで使っていました」

 ビリー・バンバンは1969年、「白いブランコ」でデビューした。その後、「さよならをするために」がヒットし、NHK紅白歌合戦出場を果たすなど活躍。76年にいったん解散するものの、84年の再結成後は着実な音楽活動を展開してきた。

 とりわけ、87年に始めた焼酎「いいちこ」のCMとのコラボは、これまでの30年間で14曲を発表するに及んでいる。2007年オンエアの「また君に恋してる」を、2年後に坂本冬美がカバーして大ヒットしたことは記憶に新しい。

 14年には、デビュー45年を記念したコンサートを開く予定だった。ところが、そんな2人を立て続けに病魔が襲う。

 まず同年5月に、弟の進さんに大腸がんが見つかった。手術前はステージIIとの診断だったが、実際にがん細胞を生検にかけるとステージIIIまで進行していることがわかった。術後は順調だったものの、進さんは自らの信念から抗がん剤治療を拒否。がんとの闘いが始まった。

 2カ月後の7月、今度は兄の孝さんが脳出血で倒れた。当時、94歳だった母親の介護のために帰った実家のトイレの中での出来事だった。深夜だったため発見が遅れ、左半身にマヒが残った。

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