放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』新連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は2020年に開催される東京オリンピックをテーマに送る。

*  *  *

 今週から連載させていただくことになりました、放送作家の鈴木おさむと申します。僕は1972年生まれの45歳。1970年代前半生まれは団塊ジュニアと呼ばれ、第2次ベビーブームと言われた世代。同学年の有名人・著名人はとても多く、中居正広、木村拓哉、マツコ・デラックス、蜷川実花、貴乃花親方、ホリエモン、深津絵里、常盤貴子、映画「君の名は。」の新海誠監督、他にも多数。非常にキャラが濃い世代。

 今、このエッセイを読んでる方の中にも1970年代前半の生まれの人も多いでしょう。団塊ジュニアと言われる我々は、学生時代とても大変な思いをしました。何が大変って受験です。大学受験では、とにかく人が多いので、どんな大学でもストレートで入れる人は少ない。僕は運よく明治学院大学にストレートで入れましたが、それも超のつくラッキー。2浪・3浪は当たり前の時代。大学が足りない時代でした。僕らの世代で国立はもちろん、早稲田・慶応行ってるやつはガチで頭のいいやつです。今は大学が潰れている時代。僕らの頃は、おそらく今、潰れてしまったような大学に入るのも大変な時代だったんです。

 
 そして、大学を卒業して社会に出た時には、バブルが崩壊したあと。今と比べるとまだバブルの残り香があり、好景気感はありましたが、バブルど真ん中で働いてた人と比べれば、マックスの泡を感じられてはいない。大学に入るのに散々苦労しといて、社会に出た時には、残り物しかない感じ。そんな世代なんです。僕ら団塊ジュニアの世代ってみんな会うと共通点がある。それはなんだろうと思うと、「マジメでやんちゃ」な感じなんです。

 僕らより年上のバブルをど真ん中で体験してきた人たちは、いまだにやんちゃです。やんちゃな50代。そして僕らより下の世代になると、不景気ど真ん中で会社に入ったりしてるわけですから、マジメな人たちが多い。僕らはその間で、マジメさもあり、やんちゃ感もある。マジメでやんちゃ。それが団塊ジュニアなんだなと思いまして。

 今週からその団塊ジュニア、1970年代生まれの方たちに向けてのエッセイを書かせていただきます。まず1回目の今回、言いたいことは「2020年のオリンピックには期待するな」ということ。最近、なにかにつけて「2020年は」と言うようになり、なんか詐欺の言葉みたいに聞こえてきました。2020年に大きなことをしてやろうとか思ってる僕らの世代も少なくないと思う。が、結局2020年は僕らより上の世代の、50代60代の人たちの掌の上で転がされていくんです。僕らがどれだけ頑張ろうが、その結果は、僕らではない上の世代の得点になっていく。だから思う。2020年に向けて頑張ろうとするな!と。2020年で時代は終わっていくわけじゃない。大事なのは2021年から。僕ら団塊ジュニアの世代こそ、2020年に期待せずに、そのあと、2021年以降、東京オリンピック明けの喪失感で覆われている時にこそ、大きなチャンスがあるんじゃないかと本気で思ってます。

 とこんな感じで、やんちゃでマジメなことを1970年代生まれに向けて書いていきます!

週刊朝日  2017年5月26日号

著者プロフィールを見る
鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

鈴木おさむの記事一覧はこちら