この奈良学園大学のイベント、翌日の森友学園での講演も、夫人付職員の谷査恵子氏は影のように寄り添い、昭恵氏が自身のフェイスブックにアップした写真で屈託のない笑顔を見せる。

 その谷氏だが、現在は出向元の経済産業省に戻っている。しかし、籠池氏の証人喚問で突如として名前が挙がってからというもの、省庁内で姿を見かけなくなったという。

 元経産省職員で、全経済産業労働組合の飯塚盛康副委員長がこう語る。

「職員が公務用のパソコンにログインするとランプが点灯する省内のシステムがあるのですが、それを見る限り、証人喚問翌日の3月24日以降、谷さんはパソコンを一度も使っていません。現在、彼女が所属する部署は中小企業庁経営支援課ですが、谷さんを見かけたという話は聞かない。追い詰められた心境に置かれていることを想像すると、暗澹たる気持ちになります」

 谷氏は国有地について財務省国有財産審理室長に問い合わせ、その回答を籠池氏にファクスで送ったが、菅義偉官房長官は昭恵氏の関与を否定し、谷氏が個人で照会したと主張している。

 飯塚氏は自身のフェイスブックに〈谷さんに、全責任を負わせて安倍首相を守ろうとしている昭恵夫人と菅官房長官に対して、腸(はらわた)が煮えくり返る思いです〉と書き込んだ。すると昭恵氏のアカウントからメッセージが届いた。

〈谷さんに責任を追わせようなどということは勿論全く思っていません。こんなことに巻き込むことになってしまい申し訳ないと思っています〉(原文ママ)

 飯塚氏が憤る。

「公務員をまるで下僕か召使のように扱っている。ファクス文書は予算措置にまで言及しており、谷さん個人がやったのなら、財務省職員とともに情報漏洩で国家公務員法違反になってしまいます。本当に罰せられるべきは昭恵夫人です」

 現在も昭恵氏には、経産省から出向した2人の夫人付職員が常駐している。昭恵氏のフェイスブックを辿っていくと、最近でも北海道の経営者会議や、東北の東日本大震災の慰霊祭、スキーイベントなど全国を駆け回っている。年間数十回は各地を飛び回っていることが窺(うかが)える。昭恵氏の全国行脚のほとんどに夫人付職員が随行している。

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