夫人付職員の職務は、「総理大臣の公務を補助する夫人を支援する」ことになっている。とはいえ、各種イベントに参加する昭恵氏の公私の区別をつけるのはきわめて困難だ。にわかには信じ難いが、2人の職員の交通費はすべて昭恵氏が支払っているというのだ。

 共産党の辰巳孝太郎参院議員が呆れた口調で語る。

「内閣官房の担当官に確認したところ、交通費の処理は昭恵夫人がそのつどチケットを手渡しているそうです(笑)。公務というならば出張命令を出して公費から旅費を支給できるようにすればいいのですが、出張命令は出したことがないという。本当に昭恵夫人のポケットマネーなのか、官房機密費から出ている可能性もあると思います」

 明らかに逸脱した行為とされているのは、選挙応援への同行だ。昨年7月の参院選で昭恵氏が自民党候補を応援した際、夫人付職員が3回随行していたのだ。内閣官房も認めざるを得なかったが、「総理の公務遂行補助に係る連絡調整等を行うため」などと釈明した。

 この問題を追及した福島瑞穂参院議員(社民党)が指摘する。

「電話連絡ならば自民党の職員がやればいいこと。国家公務員を、特定の政党の応援に連れていくのはおかしい。国家公務員法違反の疑いがあります。しかも公務員を私設秘書のように使っており、政治の私物化です。昭恵さんが総理大臣夫人の立場を利用して公権力を行使してきた結果が、現在の事態を招いています」

 昭恵氏の“天真爛漫”さはさまざまな人を呼び寄せるようだ。昭恵氏は鹿児島県の奄美群島をたびたび訪れている。大島南部や加計呂麻島などを町域とする瀬戸内町。その地に立つ観光ホテルが昭恵氏の宿泊先だ。14年と15年に訪れ、クルージングや、加計呂麻島に伝わる伝統芸能「諸鈍シバヤ」を楽しんだことが、ホテル関係者が書いたブログからは窺える。

 このホテルは瀬戸内町長を2期8年務めた房克臣氏の家族経営。実は、瀬戸内町はいま「第2の森友」としてメディアを賑わせている学校法人・加計学園(岡山市)と深い関係にある。

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