誤飲を招く「嚥下障害」 85%が食べられる可能性ありのデータも (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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誤飲を招く「嚥下障害」 85%が食べられる可能性ありのデータも

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介護施設で患者の話を聞きながら診察する東京医科歯科大学の戸原玄准教授(戸原氏提供)

介護施設で患者の話を聞きながら診察する東京医科歯科大学の戸原玄准教授(戸原氏提供)

 飲み込む力が低下する嚥下障害は、誤嚥性肺炎になる可能性があり、命をおとす危険もある。しかし、 東京都足立区で中古車販売の会社を経営している畠山博光さん(66)は、日本大学歯学部の戸原玄歯科医師(当時、現在は東京医科歯科大学准教授)による訓練を重ね、2年後には食べられるようになった。

 一度食べることが難しくなっても、専門家の指導を受ければ、再び食べる力を取り戻せる人はいる。畠山さんのような人は、果たしてどれくらいいるのだろうか。

 その答えを示す前に、まず嚥下障害について、簡単に説明しよう。国立長寿医療研究センターが行った調査(※1)によると、一般病棟の高齢患者の14%、特別養護老人ホームの入所者では60%、介護療養施設の入所者で74%に嚥下障害の症状があるという。胃ろうや、鼻からチューブを入れる経鼻経管による人工栄養で暮らす人は少なくない。

 嚥下障害の原因はさまざまだ。もちろん、物をのみ込む嚥下機能は加齢とともに徐々に落ちていく。終末期を迎えると、自力で食べることは難しくなる。

 その一方で、畠山さんのように脳血管障害の後遺症で嚥下障害になることもある。脳梗塞は60代以降に多いが、近年では40~50代の働き盛りの年代でも発症する傾向がある。脳血管障害は進行性の疾患ではないので、後遺症の嚥下障害はリハビリで改善する症例は多い。

 また、骨折や肺炎などケガや病気で入院すると、身体を使わないことで体力が低下したり、栄養が低い状態に陥ったりして、のみ込む機能も低下してくる。これは「廃用」といって、高齢者に多いが、終末期に限らない。

 戸原氏は、いったんは医師に「食べられない」と診断された患者を5千人以上、再度検査。結果は、驚くことに85%の人が、実は食べる力が残っていたのだ。

「多くの場合は嚥下機能というのみ込む力だけを検査することが多いようです。しかし、一言で『食べる』といっても、認知機能や咀嚼機能(噛む力)、口腔機能、食道蠕動運動などさまざまな機能が必要な動作です。食べるためには、どの機能のどこに問題があるかを調べて、環境を整えたり、リハビリをしたりすれば、再び口から食べられるようになる人はかなりいます」(戸原氏)


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