誤飲を招く「嚥下障害」 85%が食べられる可能性ありのデータも (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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誤飲を招く「嚥下障害」 85%が食べられる可能性ありのデータも

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介護施設で患者の話を聞きながら診察する東京医科歯科大学の戸原玄准教授(戸原氏提供)

介護施設で患者の話を聞きながら診察する東京医科歯科大学の戸原玄准教授(戸原氏提供)

 患者や家族も心配なのは肺炎のリスクだが、誤嚥性肺炎についても誤解がある。口から食べなければ誤嚥性肺炎を完全に防げるわけではない。食べ物だけでなく唾液も誤嚥しているので、口の中が不衛生であれば、原因となる菌・ウイルスを含む唾液によって誤嚥性肺炎は起きるからだ。

「ケアをして口の中が衛生的であれば、たとえ、誤嚥をしても肺炎のリスクは低くなります」(同)

 戸原氏のような「食べさせる専門家」は非常に少ない。その理由は、医科でも歯科でも、大学教育ではほとんど食べるための知識を教えていない上に、医療機関は十分な診療報酬を得られないという制度的な問題も考えられる。

 専門家が少ないために、再び食べる力を取り戻す可能性のある患者が見過ごされ、「一生食べられない」という結論になってしまう。筆者が『口腔医療革命 食べる力』(文春新書)の中で数多くの患者・家族を取材した結果、見えてきた現実だ。

 さらに、地域に専門家がいても、その情報を患者家族は全く知らず、まして、それが歯科医師などとは想像すらできない。情報不足も要因として大きいことが、取材からわかってきた。

 福岡で歯科クリニックを開業する歯科医師・原豪志氏は、戸原氏の元で食べるサポートを学び、地元でも始めようと試みたが、すぐ壁にぶつかった。

「食べられないで困っているという患者さんが、われわれのもとにまったく来なかったんです。よく調べてみると、患者は食べたいと思っていないわけではなく、潜在的なニーズはありました。しかし、患者は、食べたいという希望をかなえる手段があるとは知らなかったんです」(原氏)

 待っているだけでは患者に支援は届かないと、原氏は啓発活動を開始。地域のケアマネジャーを中心に定期的に勉強会を開いて、「食べるサポート」の意義を広く伝えた。地道な活動が功を奏して、患者数は4年間で年間90人から440人へと急増した。

「患者の食べるサポートをしたいと考えている医療者は、地域に決して少なくないと思っていました」

 と戸原氏は言う。そこで、戸原氏は日本医療研究開発機構の支援で、全国調査(※2)を行った。


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