時には往復で1万円を割るバーゲンチケットを利用して、1泊2日で名瀬の繁華街・屋仁川に黒糖焼酎と奄美料理、そして島唄を楽しみにくる人もいるほど。

 マングローブの中をカヌーで縫い、秋でも泳げるサンゴ礁でのシュノーケリング、ダイビング、釣りにふけってもいい。最近では、大島南部に多く残る旧日本軍の特攻艇の格納庫、日本一といわれる弾薬庫などの戦争遺産も、注目されている。

 祭りに興味があれば、奄美大島のすぐ南の加計呂麻島まで足を延ばしてもいい。10月9日(旧暦9月9日)、国の重要無形民俗文化財・諸鈍シバヤが、諸鈍集落の大屯神社で行われる。ユニークな紙の面をつけて奉納される芸能が興味深い。

 昭和の香りを楽しみたいのであれば、この2年ほどで急にテナントが復活し、にぎわいを見せる奄美市の永田橋市場がお勧め。地元の人に言わせれば、昭和30年代は、“原宿”のような混雑ぶりだったという。哀愁漂う狭い市場の通路は、ふらふらと足を踏み入れたくなる。市内にあり、奄美で名高い唄者・西和美さんが経営する「かずみ」は、伝統的な郷土料理と島唄を堪能でき、予約するのが無難だろう。

週刊朝日  2016年9月23日号