空から見た奄美大島(鹿児島県)。首都圏を起点とした場合、奄美大島は長らく「最も遠い島」だった。しかし、近年はLCCの就航によってアクセスが格段に向上した
空から見た奄美大島(鹿児島県)。首都圏を起点とした場合、奄美大島は長らく「最も遠い島」だった。しかし、近年はLCCの就航によってアクセスが格段に向上した

 近年、奄美大島に観光客が増えている。成田空港からのLCC就航によって、特に関東からの旅行者が増加しているのだ。“島マエストロ”の旅ライター・斎藤潤さんが、その魅力を紹介する。

*  *  *

 首都圏を起点とし、交通費を念頭に置くと、鹿児島県の奄美大島は一番遠い島だった。しかし、一昨年の夏、成田空港からLCCが就航し、片道8千円からと、距離が一挙に縮まった。観光客も目に見えて増えた上に、帰省客の増加も著しく、当初は夏期のみの運航だったが、冬期も継続されることが決定。奄美群島振興開発特別措置法による補助で、現在は片道5890円から。鹿児島市と奄美大島を結ぶ船の2等料金(9月現在9050円)よりはるかに安い。

 この島をお勧めするのは、ただ安いからではない。この国で失われつつある奥ゆかしいたたずまいが残っているから。

 深い森やマングローブ、美しいサンゴ礁といった自然景観、昭和の面影が色濃い奄美市名瀬の街並み、神代の時代をほうふつとさせる祭祀(さいし)や哀調漂う独特の節回しの島唄など、魅力に事欠かない。

次のページ