男子柔道・原沢久喜の銀メダルは“母親譲り”の賜物 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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男子柔道・原沢久喜の銀メダルは“母親譲り”の賜物

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リネールと肩を組む原沢 (c)朝日新聞社

リネールと肩を組む原沢 (c)朝日新聞社

 高校で柔道をやめ、就職も考えた原沢だが、日本大学柔道部の金野潤監督に遠征先で声をかけられた。

「ペラペラでガリガリ。下手だけど投げられない柔軟さを持つ。気持ちも強く、おもしろいな」。2カ月後、下関を訪ねる。「日大どう」。原沢は「はい、日大行きます」と即答だった。これには金野監督も一本とられたようだ。

「普通は、親と相談し、他の大学と比較してから連絡しますとなるんですが、二つ返事で決まるなんて初めて。お母さんは試合にも姿を見せなかった。お母さんも原沢も細かいことを気にしないですよね」

 日大柔道部では部員に本を選ばせ、不定期に読書感想文を書かせるが、入部直後の原沢が最初に選んだ本は「相対性理論」について。理由を尋ねられると「以前から興味あったんで」と答えた。

 柔道に対する姿勢は真面目そのもの。主将も務めたが、練習は徹底して追い込み、部内では「背中で見せる寡黙なお父さんのような存在」だった。金野監督は言う。

「柔道以外には本当に小さいことに頓着しない、こだわらない。変わってる子って強いんですよ。世界チャンピオンになるような人間は常人と違う」

 金野監督の予想どおり、教え子は強くなった。決勝後、敏江さんと一緒に来ていた妹のLINEに原沢のメッセージが入った。

「応援ありがとう。お母さんにも伝えて」

 決勝後に会うことなく、敏江さんは帰国した。

「決勝はすごく頑張ってたんで『一生懸命やったね』と言ってみようと思うんですけど。彼も忙しいと思ってメールもしてないんですよ。ハハハ、すみませんこんなんで」

 母親譲り。小さなことに頓着せず、負けん気でたどり着いた銀メダル。4年後の柔道完全復活は、この大器にかかっている。(本誌・鳴澤大)

週刊朝日 2016年9月2日号


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