老後を「ひとり」で楽しく過ごすためには?
老後を「ひとり」で楽しく過ごすためには?

 結婚していても、子供がいても、老後は「ひとり」になるかもしれない。そのときに楽しく過ごすためには何が必要なのか、おひとりさまの達人にリアルな日常を語ってもらった。

 神奈川県在住の松根敦子さん(82)。眼下に桜並木が広がる賃貸マンションの5階に住んでいる。

「春はピンク色のじゅうたんを敷き詰めたように奇麗なのよ」

 18年前、64歳のときに夫をがんで亡くした後、戸建てを売却して移り住んだ。マンションは知人が大家さん。広さは45平方メートルの1LDKで、家賃は11万円台。ダイニングテーブルやソファは前の家から持ってきたが、グランドピアノは入りきらずに処分した。

「主人はテレビ局に勤めていたので、つきあいも忙しくてほとんど家にいなかった。だから私、“ひとり遊び”にも慣れているんです」

 バレエで鍛えしゃんとした背筋、声にもはりがある。松根さんはアクティブだ。音楽や映画の鑑賞や、野球観戦が大好き。プロ野球ファン歴は67年と年季が入っている。松根さんが見せてくれたのは、チケットの束。これまで行ったコンサートの記録だ。クラシックからロックまで、場所も武道館から渋谷の小さなライブハウスまでと幅広い。

「好きなアーティストの情報はネットで調べています。やっぱり生は最高!」

 こうしたライブには、昔から人を誘わないという。「趣味はそれぞれなので、誘いに応じたけれど本当に楽しんでいる?と気になるから」

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