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 都内の会社に勤める男性は、33歳のときに視野が狭まり見えづらい日が続いたので近所の眼科にかかった。

 しかしすぐに原因がわからず、3週間ほどたって症状が進んだときにようやく網膜剥離だと診断された。すぐに手術となり、2週間入院。その後は仕事に戻ることができた。当時の視力は裸眼で0.03。医師からは近視による網膜への負担と説明を受けたという。

 顔を強打されるボクサーや、ボールが目にぶつかったなど、強い衝撃を受けるケースにも起きるが、普通の生活をしていても、網膜剥離の危険はある。

 東京女子医科大学病院眼科の飯田知弘医師は、「年間約1万人に1人発症するといわれています。近視、特に強度近視の人はなりやすい。どの年齢でも網膜剥離になる可能性はありますが、20代と50、60代の中高年に多く発症します」と説明する。

 網膜は目に入ってきた光の刺激を脳への視神経に伝える組織。カメラのフィルムに当たる。

「眼球の中いっぱいに詰まっている硝子体というゼリー状の物体は、加齢にともない液体化して量が減ってきます。そうなることで、網膜が硝子体に引っ張られて小さな穴や裂け目ができ、硝子体中の水分がその穴から後ろに回り込んで網膜がはがれていきます」(飯田医師)

 強度の近視の場合は、網膜に負担がかかることでできた小さな穴から剥離が広がっていく。全く別の目の病気がきっかけになるケースもある。発症すると視野の一部が欠けたり、景色がボヤけたりして、見えづらくなる。また、放っておいて自然に治ることはない。

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