「海外ではダニエキスを用いた免疫療法が標準。ようやく日本も追いつきました」(大久保医師)

 治療は血液検査でダニアレルギーが確認された患者が対象。皮下注射はアレルギー性鼻炎と気管支ぜんそく、舌下免疫療法は12歳以上のアレルギー性鼻炎向けだ。

 大久保医師は現在、ハウスダストエキスで効果が見られなかった患者に、ダニエキスへの変更をすすめている。

「抗アレルギー薬がいらない程度まで改善する人は、7~8割ぐらいではないか。効果が高い分、アナフィラキシー(アレルギー反応による急性症状)が起こりやすい問題はあるものの、治療は専門家のいる医療機関で受けることから、緊急の対応も可能です」(同)

 3千人以上の患者に免疫療法を実施している小山耳鼻咽喉科アレルギー科医院(東京都練馬区)院長の小山英明医師も、新しい治療薬に期待する。

「免疫療法のデメリットは、試さないとわからないという点。1年、2年と続けていても効かなかったために、つらい思いをする患者さんもいました。新しい薬はダニエキスという純粋な成分なので効果が高い。確実な治療に近づきました」

 一方で課題もある。

「免疫療法を行う専門医が少ないのです。アレルギー科を掲げる病院や医院でも、やっていないところがあるようです」(小山医師)

週刊朝日 2015年6月5日号より抜粋